兵庫県感染症発生動向調査週報(平成18年)

平成18年4月27日 兵庫県感染症情報センタ−発行

この週報は感染症発生動向調査の患者情報について、速報性を重視して発行するものです。そのため、患者数は確定した値ではありません。場合によっては集計されない保健所(健康福祉事務所)があることや、国からの還元情報の値と異なることがありますがご了承ください。

 

平成18年第16週(平成18年4月17日〜4月23日)コメント

全数把握感染症(県内第16週)

1類感染症:報告はありません。

2類感染症:報告はありません。

3類感染症:腸管出血性大腸菌感染症 2名(宝塚健康福祉事務所管内1名、伊丹健康福祉事務所管内1名) いずれもO157 VT1+VT2+

4類感染症:報告はありません。

5類感染症:梅毒(無症状病原体保有者) 1名(尼崎市)

 

追加報告A型肝炎 2名(神戸市 第15週、明石健康福祉事務所管内 第8週)

         ウイルス性肝炎 2名(神戸市、姫路市、いずれもB型第15週)

         アメーバ赤痢 1名(西宮市、第15週)

 

定点把握感染症等の概況(県内第16週)

咽頭結膜熱の定点あたり患者数は今週さらに増加しました。例年の同時期としては非常に患者数の多い状態ですが、今後例年の流行期をむかえさらに患者数が増加することが考えられます。咽頭結膜熱は発熱・咽頭炎・眼症状を主とする急性ウイルス性の感染症です。別名プール熱ともいわれ、ウイルスに汚染されたプールの水を介して感染することもあります。うがい・手洗い・水泳前後のシャワーなどが大切です。咽頭結膜熱の定点あたり患者数は全国的にもかなり多い状況にありますが、その中でも兵庫県は患者数が多い県となっています。

A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の定点あたり患者数は今週増加しました。例年の同時期で比較するとやや多い状態です。A群溶血性レンサ球菌咽頭炎は突然の発熱(38℃)や咽頭痛から始まり、頸部リンパ節炎や扁桃の発赤腫脹がみられます。学校、家庭などでの集団感染も起こります。感染防止のためには患者との濃厚接触を避けることが重要で、うがい・手洗いも大切です。

 

定点あたり患者数の上位10位の疾病(県内第16週)

 

疾病名

定点当たり患者数

先週

先週からの増減

 

疾病名

定点当たり患者数

先週

先週からの増減

1

感染性胃腸炎

7.29

7.54

0.25

6

インフルエンザ

0.83

0.53

0.30

2

水痘

2.08

2.30

0.22

7

突発性発しん

0.76

0.64

0.12

3

A群溶血性レンサ球菌咽頭炎

1.42

1.13

0.29

8

流行性角結膜炎

0.65

0.83

0.18

4

咽頭結膜熱

1.25

0.98

0.27

9

伝染性紅斑

0.36

0.28

0.08

5

流行性耳下腺炎

1.05

1.07

0.02

10

手足口病

0.19

0.20

0.01

 

 

検査情報(県立健康環境科学研究センター)

 咽頭結膜熱の患者数が多い状態となっていますが、同疾病の原因と考えられているアデノウイルスでは、1型2件2型5件3型5件11型1件、咽頭結膜熱患者や滲出性扁桃炎患者等から平成18年1月〜3月の間に採取された咽頭ぬぐい液や鼻汁等より検出されています(これらは既にこの欄で記載した情報を集計したものです)。今週新たに咽頭結膜熱患者1名(2歳男児)及び滲出性扁桃炎患者1名(4歳男児)からいずれもアデノウイルス3型が検出されました。

 

定点把握感染症等全国の概況 (第14週 国立感染症研究所の週報IDWRから部分的に引用)

インフルエンザは定点当たり報告数は減少が続き、1.0以下となった。都道府県別では高知県(3.1)、新潟県(2.9)、青森県(2.7)が多い。RSウイルス感染症は229例の報告があり、報告数は減少した。年齢別では、1歳以下の報告数が全体の約70%を占めている。咽頭結膜熱の定点当たり報告数は微減したが、過去5年間の同時期(前週、当該週、後週)と比較してかなり多い。都道府県別では福井県(2.1)、岐阜県(1.4)、兵庫県(1.1)、鹿児島県(1.1)が多い。A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の定点当たり報告数は第11週以降、減少が続いているが、過去5年間の同時期と比較してやや多い。都道府県別では鳥取県(4.4)、石川県(3.6)、新潟県(3.1)が多い。感染性胃腸炎の定点当たり報告数は第11週以降、減少が続いている。都道府県別では宮崎県(18.3)、大分県(12.6)、高知県(12.3)が多い。水痘の定点当たり報告数は減少したが、過去5年間の同時期と比較してやや多い。都道府県別では沖縄県(4.5)、佐賀県(4.3)、宮崎県(4.1)が多い。手足口病の定点当たり報告数は増加した。都道府県別では愛知県(0.41)、岐阜県(0.40)、宮城県(0.28)が多い。伝染性紅斑の定点当たり報告数は増加した。都道府県別では熊本県(1.3)、福島県(1.2)、島根県(1.1)が多い。百日咳の定点当たり報告数は減少した。都道府県別では千葉県(0.05)、福岡県(0.05)が多い。風しんの定点当たり報告数は微減した。都道府県別では青森県(0.05)、高知県(0.03)が多い。ヘルパンギーナの定点当たり報告数は微増した。都道府県別では熊本県(0.40)、鳥取県(0.37)、山口県(0.27)が多い。麻しんの定点当たり報告数は微減した。都道府県別では栃木県(0.04)、岐阜県(0.04)が多い。流行性耳下腺炎の定点当たり報告数は減少した。都道府県別では鹿児島県(4.8)、山口県(4.5)、長野県(3.6)が多い。マイコプラズマ肺炎の定点当たり報告数は減少したが、過去5年間の同時期と比較してやや多い。都道府県別では群馬県(1.1)、大阪府(1.1)、茨城県(1.0)が多い。

 

目で見る動向(県内)

 

3月コメント

 月報は性感染症と薬剤耐性菌感染症が対象疾患となっています。性感染症では性器クラミジア感染症の定点あたり患者数が増加しました。薬剤耐性菌感染症ではメチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症(MRSA)の定点あたり患者数が増加しました。いずれも通常の変動の範囲内です。

 

月報対象疾患の動向(兵庫県、上段:患者数、下段:定点あたり患者数)

 

8月

9月

10月

11月

12月

1月

2月

3月

性器クラミジア感染症

113

109

101

112

107

91

87

114

2.46

2.37

2.20

2.43

2.33

1.98

1.89

2.48

性器ヘルペスウイルス感染症

50

45

45

44

43

50

31

35

1.09

0.98

0.98

0.96

0.93

1.09

0.67

0.76

尖圭コンジローマ

32

21

24

23

16

34

24

16

0.70

0.46

0.52

0.50

0.35

0.74

0.52

0.35

淋菌感染症

53

53

55

43

40

43

36

37

1.15

1.15

1.20

0.93

0.87

0.93

0.78

0.80

メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症MRSA)

32

44

31

47

36

46

30

44

2.46

3.38

2.38

3.62

2.77

3.29

2.14

3.14

ペニシリン耐性肺炎球菌感染症(PRSP)

5

4

13

20

12

11

8

0.38

0.31

1.00

1.54

0.86

0.79

0.57

薬剤耐性緑膿菌感染症

1

2

2

2

1

0.08

0.15

0.15

0.15

0.07

 

 

 

また、http://idsc.nih.go.jp/index-j.htmlから国立感染症研究所感染症情報センターの週報(IDWR)がダウンロードできます